新宿合気会web 7号 「今こそ稽古の仕方を考えよう②」

 「どうやったら上達するのか?」

それは合気道を稽古している方であれば誰もが常に考えるところです。色々な方法を試したり、先輩や先生に教えを求めたり、自分で本や動画を見てあれこれ試したり、その方法は枚挙に暇がありません。そしていろいろな目新しい技術と出会った時には感動する反面、先生から「基礎動作に取り組み基礎もっと磨いていこう」と言われた時には、あまりにも地味で落胆する気持ちさえ持つこともあります。

呼吸法、転換、転身、転回、送り足、継足、歩み足…もうできるよ!なんでできるのに毎日やる必要があるのだろう?そう思っていても先生からは求められます。

 

 やはりそれだけ重要なことなのでしょう。基礎というのは技を構成している要素です。逆半身片手取り四方投げを例にすれば、表では最初に足を入れ替える(転身)、踏み込んで前進する(呼吸法)、振り返る(転回)という動作がすべて基礎動作で確認できます。

そして、裏では転換があり、呼吸法と共に転回があります。

基本単独動作をやっているのに、技の中にあるそれらと全然形が変わってしまうことがあります。片手取り転換法の時です。一人ではスムーズに転換動作ができるのに、片手を取られると途端に下を向いてしまい、緊張してしまう。単独動作のときとはまるで違うものになってしまう。先生は常に、「単独動作と同じようにできなければならない」と仰います。基礎レベルというのは技を通じて勝手につくものと思われがちですが、ちゃんと技の中で基礎に向き合い取り組むということが重要だと言えます。技の中に基礎の存在を認識しながら、一つひとつを確認していくことで、技をもっと深掘りしていくことができる訳ですね。

技の骨格にしっかりと取り組んでいけば、技一つひとつの完成度が増していきます。技の種類を増やしていく取り組みというのはキリがありません。それはそれで面白い訳ですが、考えようによってはそのことだけに一生懸命になってしまい、肝心な技の完成度を疎かにしてしまいます。自分の知っている技に更に磨きをかけていくことは、自分ひとりでも取り組むことができ、昨日できなかったことが今日できるようになっていく喜びがあり、技の完成度、美しさも増していきます。技の骨格に取り組むことで自分の課題をより具体化し、稽古に集中することができるようになり、結果的に上達の近道になってくるのではないでしょうか。

 

 

 

11月13日稽古の様子

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