新宿合気会web 4号 「基礎稽古に終わりはない」

合気道をやり始めると、誰もが似たような稽古の段階を踏みます。

入門したての頃は、基礎動作と受身。それに慣れてきたら一教、四方投げ入身投げなどの基本技。その後に昇給審査制度を知り、次第に審査要綱に応じた技を主として稽古していき、そのまま初段取得まで突き進んでいきます。昇段前後から剣や杖にも興味を持ち始め、多種多様な技と武器技を取得しようとしていきます。

またその間、人によっては本部道場に通い始めたり、講習会に参加したり、またそういったことをきっかけに他道場に仲間ができたりなどして交流も生まれることもあるようですが、動画や各書籍などがきっかけにもなりながら、ともかく更に興味関心が高まり、技の種類を増やしていこうとします。これに関しては、ある一定の段位・レベルまでは誰しも通る通過点であり、そのこと自体は至極自然なことだとは思います。

 

しかし、ある時から、「やはり基礎が重要なんだ」ということに気付かなければならないと思います。

私たちはなぜ級位や段位があがっても同じ技を稽古し続けるのでしょうか? そして、そのことに飽きません。この稽古スタイルとそのモチベーションこそ、合気道の特徴であると言えると思います。

 

基礎というのは、初心者だけが取り組むものではありません。

基礎は「習得」するものではなく、「常に磨いていくもの(取り組み続けるもの)」だと言えるでしょう。

例えば、寿司職人がいたとします。新米の職人と、名人・達人の職人では一見すると「動作」は同じかもしれませんが、「所作」は異なり、そして味も当然天と地の差ほど違ってきます。取得した技術は同じかもしれません。しかし名人・達人の職人は技術を磨いてきた年数が違います。握り方、包丁の捌き方一つどれをとっても違っているわけです。

期待して訪ねた寿司屋さんが、ネタの種類は豊富だけど一つ一つが全然おいしくない寿司屋さんと、アレコレ種類はそんなに多くないものの、ある程度の種類がそろっていて、一つ一つがしっかりとした技術の高さを感じる素晴らしい寿司だったとしたら、どちらが良いでしょうか?

 

 

 

合気道の技も同じです。

重要なことは技の種類を増やすことではなく、基礎を磨き、基礎のレベルをあげていくことなのです。

一つ一つの技術にしっかりとした基礎の裏付けを感じる説得力のある技ができるようになっていかなければなりません。

 

そこで基礎の稽古方法についてですが、どのような方法があるのでしょうか。

それは簡単です。

まさに基礎動作を一人でやってみることです。一人でやってみること、そして道場でそのやってきたことを仲間との技の稽古で確認し、そしてまた一人でやってみる、また相手と技の中で確認していく。その繰り返しです。

 

実はこの過程が重要で、どのような稽古をしたらよいのか、自分で考えながら稽古内容を設計していくということが大切なのです。自分で考えることができるようになれば、先輩や指導員からの助言待ちではなく、主体的な稽古ができるようになるので、常に前のめりな姿勢で稽古できるため、充実さは変わってきます。

 

自分で稽古内容を設計する上で重要なことは、常に基礎に帰るということです。応用というのはいきなり目指すものでは無く、基礎の延長線上にあります。求める場所を常に原点である基礎に置きましょう。また基礎を重視すると、初心者や後輩との稽古もより充実するようになります。なぜならば、同じことに取り組むからです。だから誰とやっても楽しさを感じられるようになるのです。

 

今、新宿合気会会員向け動画がアップロードされています。新型コロナウィルスによる影響で稽古が中断している中、自宅でできる稽古として、長南指導員の指導が動画で見ることができます。是非確認をし、自宅でも取り組み、興味関心を維持しつつ稽古再開を心待ちにしていきましょう。

 

※動画は新宿合気会ホームページのトップページにURLを確認することができます。