新宿合気会web 24号「昇段審査会を経て」

 9月27日、本部道場関昭二師範をお迎えし、昇段審査会と講習会を開催しました。

 昇段審査は緊張感あるものとなりましたが、今回弐段の昇段審査に臨んだ佐野健司さんはしっかりと出題の技を行うことができました。

 審査結果は合格。本当に素晴らしい審査となりました。審査後には関師範より、「日々しっかりと稽古されていることが分かりました」という総評まで頂きました。

 このような素晴らしいお言葉を頂戴することができた背景には、ポイントが三点あったと思います。

 ひとつは、もちろん佐野さんご自身がしっかり日ごろの稽古に集中し、取り組まれていたことです。佐野さんは日頃の稽古で、たくさんの汗をかきながら息が切れるまで一生懸命に取り組んできました。そうした日々の稽古の積み重ねが、今回の審査で発揮されたのだと思います。

 また、そうした佐野さんの日頃の頑張りがあったためでしょう。この昇段審査に向けて佐野さんが居残り稽古をするとき、先輩、後輩、同輩を問わず、多くの会員の方々が佐野さんの居残り稽古に付き合い、一致協力したのです。審査に向けたこうした取り組みこそ、合気道が目指す調和であり、合気道の理念を体現する場だったと思います。

最後に、当会の稽古プログラムについてです。合気道の稽古には道場によってさまざまなやり方があり、当会にも長い時間を重ねてきた稽古方法があります。それは基礎動作を重視し、何しろ体を動かすことです。

 こうした稽古を誠実に積み重ねてきた佐野さんの審査を見た師範から「しっかりと稽古をしていることが分かった」と、ご評価いただいたのです。これは当会が続けてきた基本的稽古方法が正しいものだということを、私に再認識させてくれる言葉でもありました。

 

 何気ない毎年恒例の審査ではあったものの、終わってみればこのように感慨深いものとなりました。

 審査はこれからも続きます。不定期とはなりますが、昇級審査も「適宜」実施してまいります。

 一生懸命体を動かし、日ごろの稽古内容を信じ、全員で協力し合いながらこれからも稽古をやっていきましょう!

長南一樹

 

新宿合気会

www.shinjukuaikikai.com

新宿合気会web 23号「仕事と合気道」

 日々のお仕事お疲れ様です!仕事を早く終わらせて、そして道場で稽古して汗をかいて、その後は一杯、、、(笑) 最高ですよね!

 ひと昔前と異なり、働き方改革や、リモートワークの促進など労働者の取り巻く環境はだいぶ変わってきたように思います。それでも、毎日の稽古に参加することはなかなか難しく、人それぞれの環境によってその取り組み方も異なると思います。正解というのは無いと思います。

 「今日はがんばろう」と思っていたのに、稽古に行くことができなかった時、これはショックですよね。でも想定外のことが起こり道場に行けなかった。そんな時はどうしましょう。まず、15分でも参加できるようであれば、是非道場に来てください。15分参加して、その後30分程度居残り稽古すれば、小一時間は稽古したことになります。きっと誰か相手になってくれるでしょう。残念だった気持ちがだいぶ晴れると思います。

 まったく参加できなかった場合、そんな時は是非家に帰ったら10分でも5分でも、いや、3分でもいいのです。基礎動作を家でやりましょう。当会では基礎動作をしっかりと指導しています。覚えているかと思いますので、是非短い時間集中してやってみると良いと思います。

 そうやって何か考える、取り組んでみる。そういう時間を意識して作ることが大切なことだと思います。かつて故菅野師範も「道場に行く時間を作るところから稽古が始まっている」とおっしゃっていました。これは仮に稽古に行けなくとも「その穴埋めはどこかでやることを考える」ことまでを想定されている言葉だと思います。仕事をしていればイレギュラーなことは日常的に起こりますから。行けない日があっても落ち込まず、また次の稽古に参加できるように心身ともに整え、道場で一緒に稽古をしましょう!

 

新宿合気会

www.shinjukuaikikai.com

新宿合気会web 22号「当身をちゃんと入れる」

 普段の稽古でも、当身を入れることの重要性について説明をしていますが、どうしても疎かにしがちです。これはどうしてでしょう。

 どのように行ったらいいのかわからない、当たってしまったらどうしよう…。このような理由があるノかもしれません。ここで当身の重要性を考えてみましょう。

 

 合気道は武道ですから、当然実践性を考えるべきです。日ごろの稽古では、技は約束(条件のこと)の上に成り立っています。キレイに技がかかるのは取りと受けのそれぞれの役割を果たすからこそ成立します。そしてこの技の完成を通じて、互いに理合いを学び取るわけです。

 実践を考えた時、当然キレイな技がかかる前提にはなりません。そういった場合には捌きや当身が重要になってくるはずです。日ごろから当身を大切にしておかないと、いざという場合には入れることができません。

 

 また、当身を入れることが間合いを測る上でとても重要になってきます。稽古で内転換を行う際に当身を疎かにしている人は、間合いが非常に近過ぎて上手に転換できないことがあります。正しく当身を入れると、転換するためのスペースができます。私はこのスペースのことを「作業場」と言って説明していますが、当身を入れることで次の動作を行うための作業場ができるので、その後の動きがスムーズになります。

 

 当身をちゃんと入れることで、実践性のある技の構築が出来、間合いを正しく掴み、スムーズに動くことができますので、これからも大切にしていきましょう。

 そして、受けを取る側もいつ当身が飛んできても大丈夫なように緊張感をもって備えます。片手取りに行く場合も横面打ちに行く際も、座技の時もいついかなる場合でも当身をガードできるようにします。昔は当身がもし当たってしまったら、それは当てた側ではなく、受けきれなかった側が悪いんだ、と教えられました。 緊張感を以て稽古に臨みましょう。

 

新宿合気会

www.shinjukuaikikai.com

 

「袴を畳む」という文化について

 合気道の道場では、かつてより先輩や指導者の袴を畳む文化があります。当会でも今までこの歴史を踏まえてこの習慣を継続してきましたが、時代の変化を鑑みて当会ではこの習慣の見直しを図ることにいたします。

 

 今後当会では、先輩や指導者の袴を基本的に畳ませないようにします。

 同様に、経験の長い者、段位が上の立場の者が後輩に「袴を畳むこと」を指導したり、推奨することも無いようお願いいたします。


 本来、「袴を畳む」という行為は、弟子が無意識のうちに師匠の袴を畳むものでした。これは指導者への感謝を表す以前に、袴を畳む側に強い師弟関係を意識していることが前提となって行われる、いわば〝無意識の所作〟でした。
 しかし現代において、道場という場の軸が「師匠と弟子」の関係から「指導者と会員」の関係へと変化したことによって、「袴を畳む」という行為はその形式だけが取り残されているように映ります。「袴を畳む」という行為が本来持っていた意義は失われ、もはや時代にそぐわないものとなっているようにも思います。

 道場での行為が時代の流れから逸れているのにもかかわらず、形骸化し固定化することによって仮に無意識的であったとしてもその慣習を会員に〝強制する〟ということはあってはならないことだと考えます。

 道場という人間性向上の場を考え、道場で今行われている習慣や行為についてそれが今という時代との乖離がないかを見極めこのたび判断をしました。このことは、〝歴史を継承していく〟ということと矛盾しないばかりか、寧ろ〝正しく歴史を継承していく〟ための必須条件にさえなるものと考えております。

 但し、自分が指導者に対して、特段の思い入れがあり、師として敬い、常に師弟関係を思っている方が袴を畳んで差し上げる行為を妨げるものではありません。それは個人の思い、考えにおいて自由です。この場合でも、当日の指導者のみに限定してください。


 今まで素朴な感謝の念から先輩や師範の袴を畳んできた会員の方がほとんどだったと思います。しかし、先輩や師範への感謝の念を表すのであれば、袴を畳むことに限らず、他の方法はたくさんあるはずです。

 

 尚、本部道場やその他師範を招いて行う当会主催の講習会においては招かれた先生は来賓ですので、お招きした方々に対するおもてなしとしてその方の袴を畳むことを指示する場合があります。こちらは上記とは別のものとして考えてください。

 

以上、ご理解の程よろしくお願いいたします。

 

新宿合気会 会長 長南一樹

 

新宿合気会

www.shinjukuaikikai.com

 

新宿合気会web 21号「有段者の稽古」

 毎回のブログで、稽古内容については初級者向けのものが多いように感じる方もいると思います。今回は有段者向け、上級者向けの稽古の仕方について述べたいと思います。

 

 初段取得後、審査の間隔は級位だった時に比べ非常に長くなります。そして一級までは出題範囲も明確だったものの、初段以降はざっくりとしているため、明確な目標を持ちにくくなります。残念なことに初段取得後に稽古に来なくなってしまう方も中にはいます。

 

 しかし、合気道は初段取得後にもっと楽しくなっていきます。

 一級まではとにかく基本となる技を覚えることがテーマとなりますが、有段者は覚えた技を深めていくことに主眼を置いていくことになります。

 いつも稽古の場で言っておりますが、何年経っても、何十年経っても、初心者同様に一教、四方投げ入身投げをやるわけです。技術を深めていくことに主眼を置かなければ、すぐに飽きてしまいます。

 

 技術を深めていくことは、基礎のレベルを上げていくことにつながります。

 ここを捉え違える人が多いようです。いや、なかなか気付かないというか、気付かないふりをして別のことに夢中になる人が多いのです。技の質より量を増やすことや、基本とは異なる独自路線に行ってしまうケースなど。

 まぁ、分からなくもないです。いろいろと覚えてきて、他のやり方が気になる、試したくなるというのも。特に現代のインターネット社会のように情報に溢れている場合であれば、その気持ちも分からなくもないです。

 しかし、やはり原点回帰です。基本をより深めること、今まで以上に基本を考えることが肝要です。初段で取り組むべきは、悪い癖を直すこと。それができる最後のチャンスだと思った方が良いです。初段でその意識を持たず放置をすると、段位が上がった時になかなか修正が効かなくなってきます。簡単なことです。指先はちゃんと開く、受けの技術を向上させる、一教運動・転換・転身・転回の動作を理解し技にどのように役立っているか考える癖をつける、送り足、継足、歩み足などの足運びもできるようにする、などです。指先を開けない人が本当に多い。日々の稽古で強調して説明していますので、留意してもらえればと思います。

 

 

 また、初段になると、自分自身の稽古に加えて、後輩や初心者との接点も増えてきます。ここで大切なことは、指導者と同じ言葉で後輩に伝達できるか?です。指導の際にオリジナリティばかりが目立つようであれば、それは自分が何も学んでなかったという意味に等しいです。そして、なるべく言葉で説明せずに、言いたいことを技で表現し理解させようとする気概が重要です。 ある素晴らしい景色を説明するときに、「見た通りだよ」と言ってしまうのが最も効率的で、最良の選択肢であるはずです。素晴らしい景色を説明するのに「あそこに大きな木があって、その後ろには大きな素晴らしい山があって、その手前には…」と延々と説明しても大変です。だから自分で言いたいことを技で表現でき、相手に技を通じて分からせてしまえば最も楽で効率的なのです。昔の稽古には会話がなかったのは、実は最も効率的だったからです。言葉で説明してもどうせ分からない。だったら分かるまで体を動かして繰り返し稽古をした方が効率的な稽古が実現できるわけなのです。

 

 そして初段が取り組むべきもう一つは、今までの技をさらに磨くことです。二段の昇段審査の際に、どうしても短刀取りや二人掛けの技ばかり夢中になりがちです。しかし重要なのは今までの技に磨きをかけることです。 まず初段は昇段したのがそもそもギリギリ合格だった、ということを認識しなければなりません。これはすべての昇級・昇段において言えます。そのように認識することが重要です。何年たっても三教とか四教になると自信なさげに稽古するようでは全くダメなのです。だからもし昇段審査を意識するのであれば、まずは知っている技をもう一度見直し、取り組むところから始めると良いでしょう。

 

 初段、二段、三段と進んでいっても、一生懸命頭と体に等しく汗をかいて、稽古に取り組めることが大切です。 次回以降もひたむきに稽古に取り組んでいきましょう。

 

新宿合気会

www.shinjukuaikikai.com

 

新宿合気会web 20号「まじめなことはゆかいに ~技はキーワードで学ぶ~」

 昨年一年間はインドネシアジャカルタグループ道場への訪問、全日本合気道演武大会出場、新宿合気会演武大会、東京都合気道連盟演武大会、それ以外にも様々な行事がありましたが、もっとも印象的なことは、新入会員の方々が増え、道場の雰囲気が変わってきたことです。新入会員は、合気道を全くこれまでやってきたことがなく文字通りゼロからはじめる人、少しだけやったことがある人、他の道場でやっていて級や段位を持っている人と様々です。

 既存会員の中でも他の道場で稽古していた人もいますし、ずっと当会で稽古をしている人もいますが、当会では本当にいろいろな人が稽古をしています。

 

 初級、中級、上級者に関わらず、稽古は同じ技を行いそれぞれ技量に応じテーマを自分で見つけ稽古を一緒に行っていきます。

 ここ最近指導で特に強調していることとしては、「入身」「転換」「転身」「転回」「呼吸法」というキーワードで技の解説を行い、稽古する側もキーワードで体が動けるようにしてもらうことです。まずは、それぞれの言葉の意味を理解しなければなりませんが、毎回稽古の準備運動でやっており、初級の時点でしっかりと習得してもらいます。このキーワードが分かってくるようになると技が覚えやすくなります。

 例えば四方投げ(裏)を説明すると、①入身転換し、②呼吸法で振りかぶり、③転回し切り下ろす。このように非常に簡明です。

これをキーワードを用いずに説明すると、やや前進に自分の前足を進め、前足を軸足に180度背面に回転させ、両手を振りかぶり、両足を親指の付け根を軸に180度回転させ、振り下ろす…となり、聞いている方にとっては逆に難しくなってしまいます。

 当会のジャカルタ道場「天恵道場」でもキーワードを強調して指導が行われています。むしろ彼らの方がその点を重要視しており、新宿合気会側もそれを参考にして重視するようになりました。彼らは「転換」をそのまま「TENKAN」と発音し稽古で用いています。

 キーワードで覚えていくことで、いろいろな技に対して瞬時に対応することができるようになります。

 稽古はなるべくやさしく学べるように組み立てた方が良いのです。それを簡潔に行う方法がキーワードによる説明です。そして、日々稽古で大切なことは基礎・基本を大切にし、基本技を通じてそれらを磨いていこうとする意識だと考えます。ただし、やさしくといっても単調な取り組みではすぐに飽きてしまいます。やさしいから取り組める境地があるのです。

 

 作家の井上ひさし氏の言葉に次のようなものがあります。

 

「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」

 

 これは合気道を学ぶ上において、そのまま当てはまるのではないかと考えています。合気道では、初心者の頃に習った技を何年、何十年経っても同じように学び技量を高めていきます。その過程において飽きることなく取り組むためには、まさにこのような前提が必要だと思うわけです。

 ゆかいと言っても、楽しくて笑いの絶えない稽古…ではなく、あくまでも「難しいことを学ぶ上での前提」がということになります。

 そんな前提でまた稽古していきましょう。

 

新宿合気会

www.shinjukuaikikai.com

 

新宿合気会web 19号「インドネシア ジャカルタ遠征 2023 ③」

4日目の土曜日は昇段審査会と特別講習会が行われ、日曜日には第三回天恵道場演武大会が開催されました。



昇段審査会

今回は5人の初段昇段審査と、1人の二段審査が行われました。

コロナによりなかなか稽古ができませんでしたが、昨年から再開された稽古の成果が発揮されました。

これまでの数か年を思えば特別な緊張感の中での審査だったに違いありません。

この後受験した全員が合格となりました。合気道新聞にも掲載されました。

 

審査会の後は、周参見師範の講習会と、長南会長による講習会が行われました。

周参見師範による講習会

 

長南会長による講習会

 

 

日曜日は待ちに待った定期演武大会です。

天恵道場、新宿合気会参加者のみならず、天恵道場の周辺の合気道組織の方々も賛助演武に駆けつけてくれました。

 

天恵道場の方々が言うには、インドネシアではあまり演武会を年次行事として定期開催することは無いということです。天恵道場が新宿合気会への組織化するに際して、年次行事としての意味を説明し、取り組むことになりました。

試合の無い合気道は審査を除けば行事というものはあまりなく、演武会は家族や仲間に対しても合気道を知ってもらうには最も良い行事です。また一つの行事に向けて様々なことに取り組むことによって、会としての結束も高まります。2019年の第一回大会直後にコロナにより開催ができませんでしたが、2022年に第二回を行い、この度第三回目の開催となりました。

 

この演武会の定期開催には周辺道場組織も関心を示しており、日ごろから交流のある道場も賛助演武として参加した際に、天恵道場幹部と情報交換を行っています。

演武会の開催に際しては新宿合気会が以前から用いているプログラムを活用しており、そういった一つ一つのツールにも関心を寄せています。これが現実的にジャカルタ中の他組織にも伝播し、合気道の演武会開催があちこちで行われるようになれば素晴らしいことになります。

 

 

第三回大会は参加者の家族も集まり、結果的に来場者は100名になりました。

演武会直後に行われた集合写真

 

垂れ幕も毎回新調します

 

長南会長と天恵道場の面々

 

新宿合気会

www.shinjukuaikikai.com